健友俳壇 第十五回(令和三年七月)
健友俳壇は、会員の皆様が気軽に参加できる事業として、会報第72号(平成26年7月号)から掲載が始まり、今回で15回目となりました。昨年に続き新型コロナ感染拡大のため、健友旅行が中止となりました。13名の会員から投稿があり、一般の句のみの選句と講評をさせていただきました。
●特選(3句)
◎ コロナ禍 ほっこり笑顔 宵の虹 矢部 登喜子
「コロナ禍」と「笑顔」と「宵の虹」がとてもよいです。新型コロナウイルスの蔓延の中、一瞬でもコロナを忘れホットするよい句です。
◎ 突く杖に 桜しべ降る 足とられ 島田 あい
杖を突いているところに、桜しべが降って、足をとられたという表現がとても良いです。「足とられ」が効いています。
◎ 払暁の 静寂を郭公 破りけり 山田 常雄
郭公が、朝の静を破ったという表現がよく効いたとてもよい句です。
●入選(6句)
◎ 開け放つ 朝の光が 風通す 宮川 修一
「風通す」がいいです。普通の家かなと思いながら、高原の別荘も感じとれます。
◎
あさり汁 これうまいねと 言う孫ら 日向 日出子
「言う孫ら」がよく効いています。いい効果を出しています。
◎
山鳩の 声しみわたる 夏木立 高橋 洋子
読んで目に浮かぶような、とても解りやすい句となっています。
◎
桜まで 届くや父の 肩車 梅澤 輝男
解りやすく誰が読んでもすぐに、その実感が思い浮かぶようです。
◎ 辿り来て 妻と見上げる 桐の花 武居 正次
夫婦愛を感じました。「桐の花」という表現がよく効いています。
◎ 朝の駅 ダウン半袖 行き交ひて 大境 登志子
季節の変わり目は、服選びに迷うことが多く、季節感がよく表現されています。
投稿の句(4句)
◎ あまりみぬ しゃくやくの大輪 花器溢れ 青山 幹子
「あまりみぬ」は説明になりますので、この部分を変えるといいと思います。
◎ 片栗の 花見つけたり 渓流の 日向 義博
下五句の「渓流の」を「渓流に」にしますとまとまります。
◎ 帰路になお つかぬバイクの 梅雨晴れ間 茂木 良一
バイクに乗るのですね、情景が見えるとよいと思います。
◎ 来客あり 会話がはずみ 春座敷 日野原 志津江
中七句「会話がはずみ」を「会話のはずむ」に変えると解りやすくなると思います。
俳句づくりの基本ですが、俳句は「切れ」や「切れ字」が大切だといわれています。それでは、「切れ」と「切れ字」はどんなものなのでしょうか。解り易くいえば、「切れ」を作るのが「切れ字」です。
では、「切れ」とは何でしょう。俳句は、十七音の短い詩なので、言葉をたくさん使うことができません。小説のように言葉をたくさん使って詩情を表現することはできません。そこで俳句の場合は、言葉を一回切ってその後に続く気持ちや情景を省略し、限られた中におさめます。ですから、俳句は省略の文学ともいわれます。そして省略された部分は読み手が想像して読み取ります。
この一回切ることを「切れ」といいます。ある人は「切れ」は絵でいえば、「余白」であるといいます。詰め込んだ絵には余裕がなくて見ていて俳句のような余情が感じられないのだそうです。